医療のデジタルトランスフォーメーション
医療機器や医薬品の開発などには世界的に最先端の科学技術が投入され、目覚ましい進歩を遂げています。しかしながら、他の産業と比較して、インターネットテクノロジーの持つ力をうまく活用しきれていないという課題も抱えています。
様々な最新の検査機器が開発されても、複数の医療機関でその検査データを共有するような仕組みが進化することはありませんでした。素晴らしい新薬が開発されつづけても、医療機関や調剤薬局での待ち時間が解消し、医療体験の向上を実現するようなサービスは生まれてきませんでした。既存の医療の仕組みに対して上手にインターネットテクノロジーを追加して活用することができれば、患者にとっても医療従事者にとっても、より生産性の高い医療体験を実現できます。
その実現のためのアプローチの一つとして、メドレーでは医療ITシステムのSaaS (Software as a Service)化に注力しています。例えば、現在国内の診療所における電子カルテの普及率は約42%と言われており、半数以上の医療機関がいまだに紙カルテを利用しています。また、電子カルテについてもそのほとんどがローカルネットワークを活用したオンプレミス型と呼ばれるシステムが中心です。
このような現状では、患者も医療従事者も恩恵を受けられるはずのインターネットテクノロジーを活用することは現実的ではありません。そこでメドレーでは、オンライン診療や電子カルテをはじめとして医療ITシステムのSaaS化に取り組んでいます。
例えば予約管理システムが患者からの予約希望を入力するだけのものではなくオンラインに接続されていれば、患者はインターネット経由で簡単に空き枠を調べて予約することができ、医療事務にかかる時間も負担も削減されます。処方・調剤情報がクラウド上に保管・集約されていれば、お薬手帳は自動的に生成され、調剤薬局でのお薬手帳に関するやり取りは不要になり、重複投与の回避やデータの利活用が進みます。データサイエンスを使えば、いずれは希少疾患の患者の早期発見ができるかもしれません。
少子高齢化や働き方改革、社会保障費の高騰など日本の医療の抱える課題に対して医療ITシステムのSaaS化がもたらす恩恵は計り知れませんが、重要なことは理想論を語ることではなく、実際の医療現場で利用される医療ITシステムの開発とその普及です。私たちはこの変化に要する時間を短縮することが必ず社会にとって大きな価値を生み出すと信じ、その開発と普及に邁進しています。
メドレーはオンライン診療システムへの参入を皮切りに、SaaS事業を開始しました。現在はクラウド診療支援システムとして、予約、オンライン診療、電子カルテに関する領域でのサービスや調剤薬局向けの業務支援システム提供をしています。また、国家戦略特区での取組みや厚生労働省事業の受託など、医療情報システムの実証や技術規格の標準化といった、公益性の高い開発にも積極的に貢献しています。
オンライン医療の適切な普及への取り組み事例
電子処方箋の本格運用に向けた実証事業の受託
また、環境面でも、国内で年間約8億枚発行されている処方箋*が順次電子化されていくことにより、紙資源の削減を通じて環境負荷の軽減効果が期待されます。
実施結果の詳細:平成30年度電子処方箋の本格運用に向けた実証事業最終報告書 | 厚生労働省
* 厚生労働省:調剤医療費(電算処理分)の動向〜令和元年度版〜
SUKUMOオンライン医療実証事業の支援
メドレー、高知県幡多医師会、ドコモ、CLINICSオンライン診療・Pharms・地域医療情報ネットワークを活用したオンライン医療実証事業を支援
日本産婦人科医会によるオンライン診療解説講座の制作協力
メドレーが制作協力している、日本産婦人科医会のWeb連載企画「オンライン診療解説講座」が公開されました
日本医療ベンチャー協会によるオンライン診療等に関する提言の公開
日本医療ベンチャー協会遠隔分科会からの提言を公開「診療から処方、服薬指導までの一気通貫のオンライン化に向けた提言 〜新型コロナウイルス時代に患者の医療アクセスを確保するために〜」
オンライン診療の利用状況に関する調査の実施
「CLINICSオンライン診療」サービス開始5周年からみる、オンライン診療の実態調査
【メドレー調査】発熱患者に対するオンライン診療、9割超の医師が "有効に利用できる" と回答 〜初診や自宅療養患者へのフォローアップなど、発熱患者への幅広いCLINICS活用が進む〜
遠隔医療従事者研修の受託・実施
合計で、基礎研修には434名、オンライン診療研修には131名の方にご参加いただき、アンケート集計の結果、8割以上の方に満足いただけた研修となりました。
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