「CLINICSオンライン診療」サービス開始5周年からみる、 オンライン診療の実態調査
株式会社メドレー(本社:東京都港区、代表取締役社長:瀧口 浩平)は、CLINICSオンライン診療における利用実績データおよびアンケート調査結果から、オンライン診療の利用実態や医師の利用意向などの調査結果をお伝えします。
2015年に厚生労働省が発出した事務連絡を大きなきっかけとして、オンライン診療の普及が始まりました。メドレーでは翌年2016年2月よりCLINICSオンライン診療の提供を開始し、2020年12月末時点で約2,300の診療所・病院に利用され、現在の累計診察回数は約30万回となっています。
また、新型コロナウイルス感染拡大によりオンライン診療への社会的な需要が増加し、時限的な特例措置による規制緩和が起きたこともあり、オンライン診療の認知は格段に広がりました。一方で、その実態については未だ理解が深まっていない部分も多く、この度の調査結果をお伝えすることで、今後の適切なオンライン診療の普及に貢献したいと考えています。
①CLINICSオンライン診療5周年からみる、オンライン診療の利用実態
CLINICSオンライン診療の実績をもとに、オンライン診療の利用実態について診療科や登録患者層の分布など各種データをまとめました。
②オンライン診療を利用する医師への意識調査
今後のオンライン診療の発展においては、メリットや有効性だけではなく、懸念点についての議論が重要であり、代表的な懸念点に対してオンライン診療を活用する医師にアンケートを行いました。
①CLINICSオンライン診療5周年からみる、オンライン診療の利用実態
・日本全国でオンライン診療の普及が進み、二次医療圏の約70%をカバー
現在、約2,300の診療所・病院でCLINICSオンライン診療は利用されています(2020年12月末時点)。かかりつけ機能を担う診療所やクリニックを中心に導入が進んでおり、地域医療の基本的な単位である二次医療圏の約70%をCLINICSオンライン診療を利用する診療所・病院でカバーしている状況です。また、オンライン・セカンドオピニオンでの利用を中心に全国各地の大学病院や中核病院でも導入が進んでいます。
・規制緩和を受けて保険診療での活用が広がる
2020年4月以降は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための時限的な特例措置により、これまで存在していた疾患制限等の規制が大幅に緩和され、医師の判断をもとにしたオンライン診療の利用が急速に広がりました。結果として、規制緩和後はCLINICSオンライン診療を利用した診察のうち約74%が保険診療での利用となっており、それまでは規制によって利用が叶わなかった臨床現場の潜在的ニーズの高さが明らかになりました。また、診療科については内科領域、小児科、皮膚科、歯科領域や産婦人科領域などを中心に、幅広い診療科での利用が進んでいます。
・20〜40代の女性を中心に、世代を越えて利用される
オンライン診療は、20~40代の方に多く利用されています。その理由としては、仕事が忙しく通院時間を確保しにくいこと、子育てや介護により通院の負担が大きくなっていることなどが考えられます。また、産婦人科領域や皮膚科などにおいて女性の利用が進み、結果として女性患者の割合が多くなりました。登録者の最高齢は90代ですが、CLINICSアプリでは家族アカウントが作成できるため、高齢の患者に代わって家族が診療の予約等を行うことができ、通院介助の負担軽減にも繋がっています。
②オンライン診療を利用する医師への意識調査
現在、オンライン診療の特例措置の恒久化に向けて様々な議論が行われていますが、その中でオンライン診療に対する懸念点も浮かび上がっています。しかしながら、懸念点に対する臨床現場の声について、これまでまとまったデータは存在していませんでした。メドレーは、今後の議論が臨床現場の実態にあったものとなることを期待し、代表的なオンライン診療に対する懸念点について、オンライン診療を活用する医師にアンケートを行いました。
懸念1:コンビニ受診等の不必要な診療が増えるのでないか?
「オンライン診療を実施することによって患者の利便性が著しく上がり、コンビニ受診等の不必要または不適切な診療が増えるのではないか、ひいては医療現場や医療費を圧迫するのではないか」という懸念があります。しかしながら、オンライン診療によってコンビニ受診が増減したかについて聞いたところ95%の医師は「減った」「どちらかといえば減った」「変わらない」と回答し、オンライン診療がコンビニ受診等を助長する可能性は低いと推察されます。背景としては、予約を前提とした運用により飛び込み患者がいないこと、患者が処方薬を入手するまでに郵送等のタイムラグがあることから、突発的な受療行動ではなく主に計画的な受療行動に使われていることが考えられます。
懸念2:地域の医療圏が壊れるのではないか?
「オンライン診療により都市部等の医療機関に遠方からの患者が集中し、地域の医療圏が壊れる可能性があるのではないか」という懸念があります。これについて、オンライン診療の実施によって遠方患者の割合が増加したかについて聞いたところ、73%の医師が「変わらない」との回答し、「増えた」「どちらかといえば増えた」と回答した医師は27%でした。増加傾向であると回答した医師に遠方患者の受診理由について尋ねたところ「近隣にオンライン診療を実施しているところがない」「専門性が高い診療を行っている」ことが大半を占めました。そもそも、定期通院の多くは検査や身体診察などの対面診療と組み合わせることが前提であり、アンケート結果からも現時点でオンライン診療が医療圏に与える影響は小さく、今後オンライン診療に対応する診療所・病院が増えることで、その影響はさらに小さくなっていくと考えられます。
懸念3:医療の質を落とすのではないか?
オンライン診療の普及が始まって以来「オンライン診療の利用は医療の質を落とすのではないか」という懸念が常に言及されてきました。自身の診療にオンライン診療を取り入れることによって、患者に提供する医療全体の質はどう変化すると感じるか聞いたところ「悪くなる」「どちらかといえば悪くなる」と回答した医師は1割に留まり、9割の医師は医療全体の質は落ちないと考えていることがわかりました。さらに、医療全体の質は「良くなる」「どちらかといえば良くなる」と回答した医師は約半数にのぼります。オンライン診療と対面診療を比較すると医療の質が落ちるのではないかという懸念が生じがちですが、オンライン診療は「より良い診療を提供するための選択肢」として医療現場で活用されていることがわかります。
【アンケート概要】
調査対象:CLINICSオンライン診療を利用している医師
調査期間:2021年1月25日〜1月31日
調査方法:webアンケート
有効回答数:315件
オンライン診療の認知拡大やオンライン服薬指導の開始といった医療ICTの動きを追い風に、今後は電子処方箋の普及やPHRの推進も強く期待されています。メドレーは引き続きオンライン診療の適切な普及に貢献するとともに、医療ヘルスケアの未来をつくるというミッションのもと、医療機関・患者双方にとってよりよい医療の実現を目指してサービスを展開してまいります。
■「CLINICS(クリニクス)」について
離れた場所にいる医師と患者をビデオチャットでつなぐ「オンライン診療」をスムーズに実施するための各種機能を備えた、シェアNo.1(※)のオンライン診療システムです。患者は自宅等からスマートフォンやパソコンのビデオチャットを通じて医師の診察を受けることができます。2016年2月の提供開始以降、全国の診療所や大学病院などで幅広く活用されています。
【診療所・病院向け】https://clinics-cloud.com/online
【患者向け】https://clinics.medley.life
※出典元:「2020年版 医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.1 医療IT・医療情報プラットフォーム編」(富士経済社、2020年1月7日)
■株式会社メドレー 概要
【代表】代表取締役社長:瀧口 浩平
【所在地】東京都港区六本木 3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー22F
【URL】 https://www.medley.jp
■株式会社メドレーについて
メドレーは、エンジニアと医師・医療従事者を含む開発チームを有し、「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、インターネットサービスを提供しています。現在、より良い医療・介護の実現に向けて、以下のサービスを展開しています。
患者向け「オンライン診療・服薬指導アプリ CLINICS」
診療所・病院向け「クラウド診療支援システムCLINICS」
調剤薬局窓口支援システム「Pharms」
医師たちがつくるオンライン医療事典「MEDLEY」
医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」
納得できる老人ホーム探し「介護のほんね」
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